定年退職してから世界でスキー・インストラクター
せっかく世界を旅していろいろな人に出会ってきたので、私が出会った人たちの中で、特に「いいな!」と思ったライフスタイルを持った人生の先輩たちについて書いていきたいと思います。
第1回目は、私がニセコで職場の同僚として出会ったスキー・インストラクターのVal(ヴァル)。
カナダ人でしたが、冬だけニセコに働きに来ていました。
出会ったとき、ヴァルは63歳でした。すでに定年退職をされていました。
好きなことをずっと続ける
ヴァルは現役時代は自動車修理工として働いていました。結婚して2人のお子さんを立派に育て上げました。その奥さんとは離婚されたのか死別されたのかはわかりませんが、私が出会ったときは、写真家で、アジアに数年間滞在して大学で写真を教えていたという新しい奥さんと再婚されていました。
自動車いじりも好きなことであり、それを仕事として続けながら、冬にはパートタイムのスキー・インストラクターとして働き、もちろん国際的に通用するレベルの資格も保持。
定年退職されてから海外のスキー場でスキー・インストラクターとしての職を得て、旅をしながら異文化を経験し、好きな仕事をして定年後のお小遣いも稼ぐ。
ちなみにヴァルの夏の趣味はウインド・サーフィン。どこまでもアクティブです。
おうちも手作り
ヴァルはカナダのケロウナという町に住んでいます。
日本ではあまり認知度が高くありませんが、大きなスキー場も近くに複数あり、街の真ん中にはオカナガン湖という美しい湖があり、とてもよいところです。
湖の西側は、今でこそたくさんのおうちが建っていますが、ヴァルがここの土地を買ったおよそ30年ほど前には、まだ何もなかったそう。その土地を、現役時代は20年ほどほったらかしにしていましたが、定年してからプロの大工さんの手も借りつつ、雪のない夏の間を中心に、自分で素敵なおうちを建ててしまいました。
私は数年前の夏に1度お邪魔しましたが、中に入ってまず目に飛び込んでくるのは、広いリビングルームの奥に広がる夜景でした。湖の向こう側が街になっているので、高台にある西側のおうちからは、町の夜景がきれいに見えるのでした。
そしてリビングルームの壁には大きく引き伸ばされた、アジアのたくさんの子供たちが笑顔を向けている奥さんの写真が壁紙として貼られていました。
私はこんな素敵なリビングルームを今まで見たことがありませんでした。
さらに、斜面に沿って建てられたおうちには、リビングの下の階に大きなバルコニーがあり、そこには手作りのサウナが。そして冬のためにおうちには薪ストーブもありました。
大きなお庭のついたこの素晴らしいおうちを、ヴァルは土地を安いうちに手に入れたこと、そして建物もほとんど自分で建てたことで、それほど高くない金額で手に入れた、ということでした。
本当の賢さってこういうことだな~、と私は思いました。ヴァルは現役時代も定年してからも好きな仕事を楽しみ、シンプルに暮らしてコツコツ貯金して、賢く土地などに投資することで、望むライフスタイルを手に入れていました。私もこういう賢い大人になりたいな、とその時私は思ったのでした。
私も、インストラクターとして海外で働ける資格を持っています。彼のように60歳を過ぎても現役で教えている先輩たちのおかげで、今はインストラクターをしなくても将来またライフステージが変わったら教えよう、と思うとワクワクします。